代表 山田 滋 防ぐべき事故に優先的に事故防止対策を講じる。
防げない事故は家族にリスクを共有してもらう。

従来の介護現場の事故防止活動は、事故を一律に扱ってすべての事故を防ごうとしてきました。その結果、防げない事故に対してムダな労力を費やす一方で、防止義務の重い事故に対して対策が徹底できませんでした。
防ぐべき事故とは過失のある事故ですから、このような事故に対しては防止対策を徹底しなければなりませんし、防ぎようがない事故に対しては、家族に理解を求めなければなりません。同じ転倒事故でも介助中の転倒事故と自立歩行中の転倒事故は防止義務がまったく異なるのです。
 また、本来予測できない事故のリスクを補足することがヒヤリハット活動であるのに、全てのリスクをヒヤリハット活動任せにしているので事故防止活動の効果があがりません。予測できる危険は基本活動を徹底して防ぐべきなのです。危険と分かっている介助方法はルールで禁止し、ミスが事故につながらない仕組みを作るのが基本活動でヒヤリハット活動の対象ではありません。
 このように現場の事故防止活動を分析・改善し、科学的で合理的な事故防止活動に変えれば現場の負担は大きく減ります。介護職員は利用者の生活を支えるケアの専門家であって、事故防止の専門家ではありません。本業に専念できるように科学的・合理的な事故防止手法でお手伝いをするのが私たちの仕事であると考えています。

いつも現場の介護職員と一緒に

2000年介護保険制度がスタートした時、損害保険会社でお客様の企業の経営企画やリスクマネジメントに携わっていた私は、介護のリスクマネジメントに興味を持ち現場で勉強させていただくことにしました。最初に現場で活動を始めたのは、北区の清水坂あじさい荘。当時鳥海房江さんという副施設長が「おう、教えてあげるから勉強しに来なよ」と受け入れてくれ、何度もショートステイ夜勤のお供をさせてもらいました。

その後、介護現場でたくさんの職員さんと関わらせていただき、「この認知症のAさんの転倒をどうやって防いだら良いだろう」と頭を悩ませました。私が現場と関わって抱いた疑問は、「なぜこんな防げないような事故に対してムダな労力を使っているのだろう」ということでした。

その当時は、事故防止活動と言えばヒヤリハットくらいで、まともな事故防止活動や防止対策の手法が何らできていませんでした。まず、私が考えたのは「防げない事故と防ぐべき事故をきちんと区分して、防ぐべき事故に対して優先的に防止対策を講じよう」ということでした。

月に1回、その施設で起きた事故に対して、事故事例検討会を行い、まず防ぐべき事故なのか、防げない事故なのかを明確にした上で、防ぐべき事故であればどんな対策を怠って事故に至ったのか、つまりどんな対策を講じるべきなのかを明確にしていったのです。

その結果、「見守りの強化」「見回りを頻回に」というような、気合だけの対策はムダであることがわかり、「介助動作を見直す」「正しい食事の姿勢のためにクッションを作る」など、根拠のある具体的な対策を講じて実際に事故を減らすことができました。

このようにして現場で培った効果的な事故防止の手法を、すべての介護現場にお伝えしたくて、コンサルティングやセミナー活動をしています。半分の労力で二倍の効果を生むリスクマネジメントの手法をご活用ください。

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